2011年6月3日 菅さん、頑張れ

菅総理大臣に対しての批判が厳しい。厳しいというか、このたびの党首討論や、不信任案提出での議論には、限度を超えた人格批判がなされていると思う。とりわけ自民党の大島、谷垣両氏の主張は、口汚さが品位を落としているだけでなく、理不尽でもある。原発大事故に際して、菅氏が素人のくせにしゃしゃりでて怒鳴り散らし、事態を悪化させたと彼らは言う。本当にそうか。素人が、プロの真似をしてあれこれ指示するのは間違っている、というのは確かに正しい。どこかの国の大将軍様が、現場で思いつきであれこれ指示して、それを有難がる(フリをしなければならない)ようなことは、私も心底大嫌いである。大将は、専門家に考えさせ、でーんと落ち着いて座っていなければならない、などと彼らは言う。しかし、思い出してほしい。あれがそういう悠長なことで済む事態だったかどうかを。谷垣氏よ、あなたが総理大臣であったら、あの事態で専門家にまかせてでーんと座っていたのか。それは単なる思考停止ではないのか。

同時に4基(炉だけなら3基だが)の原子炉が制御不能に陥り、次々と水素爆発をしていった福島の危機。この当時の専門家といえる方々で、事態を正しく認識し、正しい解決策を提案できた方がいたか。NHKに出てくる専門家の諸氏は、そんなに大変な事態ではないと、無理に冷静さを装って信頼感を演出しただけで今となっては何の根拠もない空虚な理屈だけだったことが分かる。在野の反原発の研究者は、ことさらに危機を語ったが、いつもの語りと認識されて本当の危機と認識されずに終わってしまった。そういうなか、誰があの事態に対処できたか。

東電は、現場からの撤退を言い出したという。手に負えない、と専門家あるいは現場は認識したのだ。それを怒鳴りつけて止めさせたのが菅総理だ。確かに本当にチェルノブイリのような原子炉爆発の事態であれば撤退しかない。それを止めさせるのは、旧軍の無謀な精神主義と変わらない。しかし、混乱とパニックは、事態をより大きな危機と誤認させる。東電の中枢はまさしくそのような精神状況にあったといえる。少なくとも菅総理は、撤退を止めさせた。であるから、たとえメルトダウンが止められなくても、水素爆発が起こっても、なんらかの思いもよらない幸運があったにしても、とにかく原子炉の爆発は防げたのである。あそこで撤退していたらどうなっていたか。チェルノブイリの3倍の厄過が、東日本一帯に降りそそいだはずなのである。谷垣さん、あなたなら撤退を止めれたか?仕方ないですねと同意しなかったか?大島さん、あなたらなら撤退を止めさせたように思う。おそらく菅さんよりもっと暴力的に。しかし、それはあなたが口を極めて非難する菅さんと同じことをすることになる矛盾に気がついているか?

とてつもない危機は、誰かが身体を張って踏ん張らないといけないのだ。専門家が、あまりの危機に専門家所以に思考停止に陥っても、踏ん張らないといけないのが政治家であり、総理である。そして菅さん、乱暴な方法であったが、あなたはそれがやれた。いろいろな批判が出ているが、あれは実は男の嫉妬である。もっと自信を持って、答弁してほしいと思う。本人がそれができないのなら、側近の者供、もっと主張し、言われのない批判に反論しないか。うそも100回言ったら真実になるというデマゴギーを許していいのか。日本は、東京は、間違いなく、菅総理に救われているのだ。山井さんよ、反対討論で、お願いなどするな。頭を下げるな。もっとはっきり不信任には道理がないことを主張すべきだったのではないか。

同じことは浜岡原発停止の件でも言える。菅を貶めたい連中は、海江田の手柄を横取りしたとか、法に基づかない無責任な方法といって非難するが、総理が停止を言うから、法に基づかなくても有効な力が出たのだ。法に基づかないからダメというなら、大島さん、谷垣さんたちは、浜岡を動かしっぱなしにするしかないということではないか。もちろん東海地震は来ないかもしれない。でも、もし来たときに、福島がああなっても何の策も打てなかったのかと全世界からあきれられる日本にしたかったのか。いや、地震が来る、来ないに関わらず、日本は、危機に対応できるスキルとパトスがあるかどうかを今全世界から注視されているのは間違いないのだ。浜岡停止を批判する方々は、浜岡を止めたくないのだということはよくわかるが、それがどういう事態を招くことになるのかよく考えた方がよい。谷垣さん、あなたは浜岡を止めれるのか?それとも止めたくないのか。菅さんを批判するのなら、そこを明確にしてもらいたい。でなければあなたは卑怯だ。