平川プレート
カニューレ外れ防止器具の決定版 解説その2
平川プレート作成実行委員会(代表 山本真)

大分協和病院では、常時10名の長期人工呼吸管理の患者が入院していますが、平川プレートを、標準の補助装具にしました(左図。クリックすると拡大します)。平川プレートをカニューレに装着するのは若干手間がかかります(といって1分くらいで出来ますが)ので、一人の患者に2枚用意して、カニューレの交換時に前もってカニューレに装着し、それまで使っていたプレートはカニューレを身体から外してから取り外し、水洗、乾燥させ次回のカニューレ交換に用います。身体に挿入したカニューレに後から平川プレートを取り付けたり、外したりするのは、患者さんの気管切開孔を刺激し、むせたりするので、推奨できません。したがって、平川プレートは一人の患者に対し、2枚一組で使うよう推奨します。またマウント圧着用ゴムはあくまで消耗品ですので、切れたり亀裂が入ったら新しいゴムに取り換えてください。
平川プレートは、病院での呼吸器事故を防止するために特に役立ちます国立病院機構の2001年の調査では、1年間に11件の深刻なカニューレ外れ事故が発生していたことが明らかになりました。その結果7人死亡、2名重体とされています。この種の事故は、現在に至るまで何度も繰り返されているのが実態です。病院にとって、このトラブルで入院患者さんを亡くしたり、後遺症を与えることは社会的に指弾され致命的です。一部の病院では、人工呼吸器患者に遠隔SpO2モニターを装着したりして事故に備えるようにしていますが、費用の面から全ての患者に装着することは困難です。またこれを装着していても、気がつかなければ事故は発生することになります。常に誰かが近くにいる在宅人工呼吸と異なり、病院では、ICU管理でない限り、常時誰かの看視の目があるわけではありません。長期人工呼吸管理の患者は通常一般病室、特に個室管理になりがちです。そのことが病院で外れ事故が集中する原因でもあるのです。在宅で一生懸命安全に注意してケアしてきた患者が、ショートステイ先の病院で事故にあったという事態も多く発生しています。長期人工呼吸管理を実施している病院こそ平川プレートの意義を理解し、使用されることをお薦めします。外れても気がつくというシステムより、外れないシステムの方が安全面で強固だからです。もちろん在宅でも、安心、安全のために平川プレートをお使いください。在宅の場合は、カニューレを交換する主治医によく理解してもらってください。平川広江さんは2007年3月より佐伯市にて在宅人工呼吸で暮らしています。もちろん現在も平川プレートを装着されています。このたび、平川プレートをアルミNC加工という方法で量産できる目処がつきましたので、皆様にご紹介させていただく次第です。

   

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