2001年9月14日旅客機特攻テロの原因は

映画でこれをやられたら、嘘くさすぎてリアリティがないだろうな、というのが当日のニュース画像を見ながらの感想だった。本当に映画のシーンのような反応を人間はするんだ、とオーマイガーの連呼を聞きながらもそう思った。これまで見てきた映像のなかで最もインパクトがあった3つを選べといわれたら、僕の場合、光州事件、天安門事件、それに今回だろう。映像ではなく、事象のインパクトからいうと、ソ連崩壊、ポルポト派の虐殺、ベトナムでの米軍敗北となるけれど。憎しみの連鎖がはじけるとき、テロルが現出する。今回の大規模テロの原因は、まちがいなく中東にあり、イスラエルによるパレスチナ活動家の暗殺をはじめとする国家テロに求められよう。テレビに映しだされた、困惑した大人の表情と対照的なパレスチナの子供たちの嬉しそうな笑顔はストレートにそのことを顕していた。彼らにとってまさしくフラストレーションを解消する痛快事であったことであろう。前のコラムで、私は恨に嫌悪を返してはならないと主張した。もちろんこの中東の事態を想定してのことである。隣人が仲良くできる、わけがないのだ。先日、ネルソンマンデラは、人種差別こそがあらゆる病原体以上に人を殺したと発言していた。民族の違いや、宗教の違いはもっと大量の人を殺してきたのではないか。ヒトは友人としての礼儀と尊重がなければたちまち殺し合いをしてしまうようなのである。恨に嫌悪を返すことにとどまらず、挑発と暴力を返すことの意味。圧倒的な力がある方が、局地戦では勝てるかもしれないが、敗北する側は、間違いなく、勝利しうる分野を探し出すだろう。それがテロだ。繰り返すが、恨に嫌悪や挑発を返してはならない。それを求めるデマゴーグは、この破滅的なテロを自ら求めていることに他ならないことを理解すべきだ。WTCビルの航空機テロの実況中継を見ながらそんなことを考えてみた。

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