2011年12月27日 諫早干拓新解決法

菅内閣が開門調査実施の福岡高裁判決を受け入れたため、開門調査への予算が48億ついたという。この高裁判決受け入れは、菅さんの思いを実現するためになされた力業と理解する。しかし長崎県や地元営農者は絶対反対であろう。干拓地営農者にとって調整池が塩水化することは塩害発生は必至として認識されているため、この絶対反対の主張は理由がある。もちろんこのような環境に大きな負荷をかける無謀な干拓を行ったこと、すでに岡山県には児島湖という淡水化による環境悪化のお手本があるにも関らずに、諫早湾を締め切って淡水化したことこそが批判されるべきである。さらに干拓地営農を守るために有明海全体の環境を劣悪化してもよいとは言えない。これら双方の利害が直接対立してしまっている現状では解決法はみあたらない。解決しないことが長崎県の利益となるので、このまま問題を放置させるであろう。国が強権をもって開門することは、湾を強権で閉じたことと同じく可能かもしれないが混乱といがみ合いの縁が当事者間に深まるだけであろう。2年前に、この締め切り堤防を私も見学した。堤防より海側は青く美しい海が広がり、岸辺にはカキが生着していたが、調整池は汚くにごり、岸辺には何の生物も付いていない。堤防の左右で、まったく対照的な風景であった。そしてこの閉じられた汚染水こそ諸悪の根源であろうと考えた。これは大きな膿瘍である。膿瘍(汚水池)は無くさない限り、生体(有明海)の回復などありえない。

では、どうすれば諫干問題を解決できるか。有明湾の環境劣化は、上述のとおり調整池で水が腐るからであり、それを常時大量に放出するからである。もちろん完全開門を行い塩水化すれば環境は大幅に改善されると思われる。そのためには常時完全開門あるいは堤防破壊するしかない。しかし今度は確かに干拓地に塩害が出現するであろう。干拓したことが悪いのだ、塩害など知るか、環境を戻せという話になると、もう和解や解決の道はなくなる。そういうことではなくて、この腐水を無くしてしまう方法を考えたらどうであろう。すなわち、調整池を全面干拓するか、全面埋め立てしてしまうのだ。必要な水はクリークを通して供給するか、あるいは干拓地の端に最小限の淡水溜まりの水路を作る。そしてそれは澱ませず常に川からの流水とさせるのである。調整池で水を澱ませて汚水にしてしまうことが環境負荷なのである。放水だけであるなら川からの放水と変わらない。現実的な解決法として、現在の汚水そのものを無くしてしまうこと、それは調整池の塩水化以外にも方法があることを真剣に考えるべきではないだろうか。目的は、有明海の環境を回復させることなのであるから、開門するかしないかと非和解的な論争をするより、汚染の根を絶つ方法が双方にとって有利ではないだろうか。私は調整池全面埋め立てを提案したい。

なお、調整池は洪水対策のためだという詭弁が存在するが、それは嘘である。いかなる大雨が降ろうとも、海水面が上昇することなどありえない。調整池などなくして素直に水を海に流す方がよほど洪水対策となるのだ。諫干は、失敗百選の一つらしいが、英知を持って解決すべき時期である。