自動吸引マニュアル6

 

3.適応

このシステムは、どのような患者さんに適しているのでしょうか。最も効率よく吸引できるのは、気管カニューレのカフを通り越して流れおちてきた唾液や鼻分泌液です。これらはカフを通り越したあと、呼気の流れに押されてカニューレ内に押し込まれます。これまでのカニューレであれば、ここで痰が気流を妨害したり、暴れて異音を発したりします。ダブルサクションはカニューレ内に入り込んだたんをただちに吸引排除します。ALSなどの神経難病や、脳血管障害で気管切開をされている患者は、のどの動きが麻痺していて、唾液や鼻分泌液が、声門を越して気管内に侵入しやすくなっています。肺炎などを起こしていない、安定した病態のこれらの患者の「たん」の大部分はこのような流れ込みによる「たん」と考えられます。したがって、このような患者にはダブルサクションを用いた自動吸引システムは有効に働く可能性が高いと考えられます。逆に、肺炎やCOPDなどの肺の疾患で、肺末梢からの痰が多い患者の場合は、痰がカニューレに到達する前にSpO2が低下するなどの現象が生じるため、吸引回数も減らず、本システムはあまり有効とならない可能性があります。

通常のカニューレのときのたん(上気道からの垂れ込み)の動き。たんはカニューレの内外であばれます。これが異音や気道内圧上昇の原因です。
カニューレ内持続吸引によるたんの吸引の様子。カニューレ内に進入したたんは速やかに吸引排除されます。

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