山本の主張
Dr Makoty's advocate 2023
2023年9月12日 主食の違いと血糖値の差について FSリブレを使って考えたこと 小生糖尿病2型歴はもう10年以上でありますが、幸いHbA1cは7台を維持できており、今のところインスリンのお世話にはなっておりません。インスリンを打っている方は、最近フリースタイルリブレという皮膚に埋め込んだパッチで随時血糖を測定できる器具が保険で使うことができます。本来薬剤内服だけの小生としては医療保険では使えないのですが、デモ品が入ったこと、および自費で継続使用したことにより多少の知見を得たので少し報告したいと思います。ちなみに使用中の薬剤としてはカナグル1T、メトホルミン500mg/日というものです。今回の主要な目的は、ご飯、パン、うどんで血糖値に差は出るのか、というのがテーマです。各10食を朝食として、30分値、1時間値、2時間値、3時間値を記録してみました。もちろんもとの糖質のカロリーはそろえなければ意味がないので、ご飯は0.5合、食パンは6枚切り1.5枚、うどんは袋麺1個で、これらは概ね270Calに相当します。巷にはご飯は血糖値が上がりにくいとか言われていますが、本当にそうなのかというのが調査目的です。 今回の結果はあくまで私一人のデータですので、全ての人に適応できるかどうかは全く不明です。ただし同一個人での測定なので食事別の変化については一定の客観性があると考えています。副食はおおむね同一になるようにしています。血糖値が上がりそうなジュースなどは飲んでおりません。ブラックのコーヒーは飲んでいます。さて、結果はというと、10回の平均値±標準偏差で示すと以下のようになります。 どうでしょうか。あまり大きな差はないようですね。カロリーをそろえたら主食の形態はあまり影響はなさそうです。そこで、統計学的な検討をしてみました。以下に食品別のP値(t検定、両側)を示します。P値5%以下を赤字で、10%以下を青字で示しました。 食パンVSうどん うどんVSご飯 ご飯VS食パン なんと3つだけ有意差が立つことがわかりました。それはうどんの30分血糖値が、ご飯やパンより有意に(5%以下の危険度で)高いというものと、1時間値でうどんが有意にご飯より低いというものです。そのうえでP値が10%以下を傾向ありとすると、うどんの1時間値と2時間値においてパンや一部ご飯より血糖値が低い傾向があると判断されました。すなわちうどんはご飯やパンに比べて血糖値が上がりやすいが下がりやすい傾向がありそうということです。ピークの高さもうどんが一番低く、うどんは血糖値には比較的よい食品といえるように思います。うどん好きの小生にとってはややうれしい結果です。 ではリブレで他に何がわかったのかというと、実は結構大事なことがわかりました。一つは、朝食での血糖値の上昇が大きい、というものです。昼食や夕食よりも明らかにピークが高いのです。もう一つが、就寝中に食べてもないのに徐々に血糖値が上がっていくことです。就寝前には100近くまで落ちていた血糖値が朝にかけてじわじわ上昇し朝食前では140近辺になっていました。夜間就寝中は膵臓も寝てしまうのかも。そのため反応が遅れ、朝食後の血糖値が高くなるようなのです。これまで夜間の血糖値などは全く把握できていませんでしたので、連続的な血糖値の推移がわかるリブレは有用性が高いと思います。惜しむらくはインスリン投与しないと保険適応にならないという点です。インスリンに依存しないよう注意するためにも、インスリンを打つようになる前にこそ意義があるのではないかというのが、リブレを使ってみての感想です。 |