Dr Makotyの近況報告2006年

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近況報告2005年

12/18 忙しい一週間を過ごしてきました。13日はカニューレメーカーと、夜遅くまで自動吸引用カニューレの安全性テスト。自動吸引用として問題ない成績が残せました。14日午後は奈良に飛び、K教授や難病関係のDr、保健師と夕食しながら懇談。15日は午前に3時間の学生向けの特別講義。10数名の外部聴講者が来られました。午後は奈良県の難病担当保健師の方々とディスカッション。奈良市の人口は大分市46万人に対し、36万人だそうです。大分は現在在宅人工呼吸を行っているALS患者は20数名いますが、奈良市はゼロだそうです。それだけでなく、ここ5、6年全く出ていないというのです。死亡者は毎年5、6名あるようですが。同じ日本のなかで、なぜこのような差が出てくるのでしょうか。海外との差も考えねばなりませんが、国内での差は、もっと真剣に分析されるべきだと思います。16日は大分に戻って外来、夜は佐伯での忘年会。17日の日曜は大分で市保健所主催の難病研修会。ヘルパーや訪問看護の方々を中心に100名を越える参加がありました。この熱心さが大分市の難病を支えている、との意を強くしました。講演は大分医大神経内科のH先生。私はコーディネーターとしてディスカッションの司会をさせていただきました。なかなかいい研修会になったと思います。
12/2 ALS/MND国際シンポジウムに出てきました。英語で発表もしてきましたよ。思えばこの半年、このことが苦痛の種でしたが、なんとか無事終えることができました。自動吸引装置の完成についてのプレゼンでしたが、卵の黄身が無傷でころりとそれだけがビーカーから落とされるシーンは発表していた私にも会場がどよめくのが聞こえました。ちょっと嬉しいシーンでした。知り合いのドクターの一人からは、とてもいい発表だった。とくに卵で安全性を示す実験は、安くてデモストラクティブで、実にいい。研究者魂を感じた、と最大限のお褒めをいただきました。さて、今回もいろいろと考えさせられた国際会議でした。私のコラムにそのことを書かせてもらいましたので、読んでみてください。山本の主張の最新版です。JALSAの20周年記念祝賀会もなかなかに感動的でした。不自由な姿ではあっても多くの患者さんがあの場に参加されていました。海外からの参加者もたくさん入っていましたが、彼らはどのように感じたのでしょうか。さて、この夏に続いて二度目のパシフィコ横浜です。今回はクイーンズスクエアやランドマークタワー最上階の展望台を歩いてみました。
11/2 10月29日の日曜日、ALS協会大分県支部の総会が県立病院で行われました。市内の患者さんだけでなく、以前にお伺いしたことのある他の市や町で闘病されている患者さん、ご家族の方にも大勢再会することができました。日常生活上の困ったこと、危なかったことというのが今年のテーマで、多くの皆さんからいろんな意見が出され、3時間があっという間に過ぎてしまいました。何回か意見を求められ、お答えしましたが、役に立ったでしょうか。最近発症された患者さんや、その家族の方も何人かこられていましたが、そのころが一番苦しいのよと、その時期を越したわが大分市の女傑の方々が口をそろえてお話しされていましたが、中にはそのころを思い出して涙が噴き出し、話せなくなってしまった方もいましたね。一人一人大変な思いをして今があるんだなとしみじみ感じます。苦しい時期を越せれた方も、これからの方も、できれば一緒に頑張っていきましょう。気がつけば今年ももう11月。苦しくても悲しくても日だけはどんどん駆け足で進んでいきますね。今月は3名の患者さんが在宅に入られます。一度のこの数は、私たちにとっても初めてです。落ちのないよう準備せねば。
10/10 しまった、一ヶ月吹っ飛ばしてしまった、この日記。ってあわてていますが、11月末の国際会議の発表がとてもとてもストレスになってなかなか書けないんですよ。なんせ、英語ってのが私の数少ない弱点ですからね(冗談です)。でここんとこ発音なんかに注意しながら泥縄で勉強しているんですが、三文字熟語の発音でちょっと発見をしました。それは三文字のどこを強調するのかという問題です。大分弁というのは、三文字熟語の発音で、最初の言葉に強調が入ります。これは他から来た方にとってかなり新鮮に聞こえます。たとえば「うなぎ」とか「うさぎ」を発音するとき、最初の「う」に強調が入ります。共通語では最後の「ぎ」の方ですよね。で、英語はというと、まず真ん中の言葉に強調をかけると間違えない、という法則が分かりました。どうです、役に立ったでしょ。明後日が、県立病院で、自動吸引装置の長期臨床試験についての倫理委員会があります。さきほどやっとプレゼン用の資料が出来ました。なかなか日の目を見ませんが、努力はしてるんですよ。吸引用のカニューレも、まず絶対事故を起こさない、という吸引孔を開発できたのですが、倫理委員会に通ったら、まとめて報告させてもらいます(予定)。
8/21 今年一発目の台風10号も、各駅停車のようなスロー通過でしたが、もともとのパワーが控えめだったおかげで、特段の被害はありませんでした。それより11日に大分を襲った雷雲の方が、なんと12万個を停電させたというのですから、かなり危ないものだったようです。台風はいつごろやってくるぞ、というのがかなり前から分かりますから、対策の立てようがありますが、問題は地震と、この雷ですね。まあ雷停電は、だいたい短時間で復旧しますからよいのですが、先日驚いたのは、帝都大停電ってやつがあったことですね。江戸川の高架線をクレーン船がショートさせて、都内ほぼ停電。それも3時間も続いたようです。在宅をすでにされている難病患者の皆さん、大丈夫だったでしょうか。もちろん停電対策はされていると思いますが、突然の停電はびっくりしますよね。
さて、11日の雷雨のとき、小生は海上にいました。前報でお伝えしたように、4日の連続休暇をとって、高知県の沖ノ島をめざすヨットの旅に出たところだったのです。海上は逃げようがありませんので、覚悟を決めて、ただ我慢でしたが、ハッチからのぞいたら前方を真横に走る稲妻を見て怖かったですね。通りかかっていた佐賀関の漁港では、係留中の船に落雷し、ボヤが起こったとその晩ニュースで言っておりました。まあ無事沖ノ島にたどり着き、青や黄色や縞模様の美しい魚と泳いで、リフレッシュできました。
8/4 今日は大分県の南の町、佐伯の診療所に行っておりました。ここ一週間雨なしで夏真っ盛りの佐伯の町に難病患者の往診に出かけてきました。帰りの道はメインの国道ではなく、海沿いの道を通って帰りました。佐伯の少し北の海岸からは、知り合いが子供ヨット教室をしているのが見えました。島の横で小さなOPディンギーが数艇に指導のクルーザーが一艇。携帯にかけたら、あんたも来んかいと誘われましたが、病院に帰らねばならず残念ながら遠慮しました。まさに夏です。その後津久見、臼杵を通り、大分に通じる林道で車を止めてエンジンを切ると、そこらじゅうからミンミンゼミと、どこか遠くからヒグラシの鳴き声です。そしてまわりは夏の匂い。子供のころクワガタを探しに田舎の林に入ったときのあの匂いです。ゆっくり陽が落ちていくところでした。昨夜はパイレーツオブカリビアン2を見に行きましたが、オーランドブルームが賽を振ったときに病院から携帯が入り、なくなく外に出たために、その後の展開がいまひとつよくわかりません。どうして肝心な場面になると携帯かかってしまうのでしょうかね。来週は10数年ぶりに4日連休の夏休みをとります。10数年まえに最後にとった夏休みは梅雨がずっとあけず毎日雨。おまけに患者が重体になって毎日病院に出ていたのを思い出します。たった一日だけ晴れた日、佐伯に行き、知り合いのヨットに乗せてもらいました。思えばその日から始まった私のヨットライフ。来週の夏休みには、ヨットで豊後水道を南下してみようと計画しています。
7/30 いつもは呼吸管理学会のある日程でしたが、今年は日本在宅医療研究会学術集会という、在宅医療関係者の学会で、神経難病の在宅医療についてのセッションを設けるとして、シンポジウムとパネルディスカッションに出るよう要請されましたので、札幌の呼吸管理学会はキャンセルし、横浜の在宅〜の方に行っておりました。私の担当は侵襲的呼吸管理というものでしたが、これまで大分で築いてきたHVV(High Volume Ventilation 高容量換気)についてと、NPPVと気切の併用および、気切バイレベルについて説明してきました。気切バイレベルとは、気管切開からの換気を、通常NPPVに用いる呼吸補助装置を用いて行うことですが、この方法では、リークを利用して声を出すことができるのです。その状態を、ビデオでプレゼンしたのですが、多くの観衆の方にとって新鮮だったようで、かなりの反響がありました。
関東の大学では、北里大学が突出してALSをよくやられています。ディスカッションのなかで、彼らも気切バイレベルをやっていることが分かりましたし、ALS患者の在宅では、3ヶ月に2週間のレスパイトという同じシステムを持っていることも知りました。それぞれ独立してやってきたわけですが、ほぼ同じ結果にたどりついているわけです。彼らは、大学にもかかわらず、50床の特殊疾患病床を運営しているようでした。大学病院であっても、平均在院日数のカウントからフリーである特殊疾患病棟を持てるのは、難病医療を行ううえで、大きな根拠施設となります。現在、国の施策が長期入院から在宅への流れというものが、主流になってきているとは思います。しかし、人工呼吸管理となったALSの在宅は、やはりレスパイト先がきちんと確保されていないとつらい。また、必要なときは中期的な入院もしたいし、在宅破綻となれば長期入院先も絶対に必要となります。そういう状況の確保があってはじめて安心して在宅ができるのだと思いますが、国は病院から追い出せば在宅ができると短絡的に考えているのではないでしょうか。これはきわめて悲惨な在宅を強要することになりませんか。特殊疾患病床の2年後の廃止とは、実に厳しい施策なのだと暗澹たる気持ちとなります。
7/12 メインPCの更新をして、OSはウインドウズ2000からXPにしました。まあ見た目がちょっと違うので新しくなったという実感はあります。とくにこれまでCPUファンがかなりうるさく音を立てていたので、それがなくなって満足です。また、バックアップも一部混乱しましたが、なんとか立て直せ、結構なのですが、ひとつ大きな問題が残っています。スパムメール対策です。ネット上にアドレスを書いておくと、どこかのロボットさんが拾いだして、おおっぴらに公開してるんでしょうね。山のようなスパムが届きます。それをこれまで逐次ルールを作って捨てるようにしていたのですが、この環境を引き継げなかったんですよ。毎朝50通近くのスパムが来ていて、その中に数通本来のメールが混じっています。2000のときにやっと2/3のスパムを捨てれるようになっていました。XPに更新してからは日夜ルール作りに励んでおりますが、まだまだ半分も捨てられません。例えば、「高級女性専用」なんてタームがあったら捨てろというルールを作るわけです。でも、あまり一般的なタームでやるとスパムとまではいえないDMを全部捨ててしまうことになります。たとえば、「女性専用」とかですね。さらに「女性」なんてのをタームにしたら、友人からのまで捨てかねません。そのあたりの微妙なさじ加減を使って選択させているのはある意味、クリエイティブな作業ともいえます。科学用語でいうと、フォールスポジティブ、 フォールスネガティブとの境をどう設定するかということになります。このころウイルスメールは激減しましたが、このスパムは減りそうもないですね。皆さんはどうされていますか。
7/9 仕事用のメインPCがついにバイオスさえ立ち上がらなくなって、マザーボードとCPUの交換を思い立ちました。新システムの立ち上げ自体は特に問題もなかったのですが、これまで使っていたHDD(ハードディスク)の認識に大変な苦労をしてしまいました。増設したHDDを拡張フォーマットのダイナミックというモードにしていたのですが、これがとんでもない「いたずら」をしてくれたのでした。以前増設するときベーシックよりダイナミックの方がなんとなく偉そうだという無意味な理由でこれにしていたのですが、システム更新すると全く読み出せなくなるのです。しかもそこに過去の全てのバックアップを入れていたので、読めないとわかったときかなり焦りました。数日間の試行錯誤の末、新しいマザーに以前のシステムディスクを接続し、なんとか以前のウインドウズ2000を立ち上げてデータを拾い出すことができました。マザーは異なっても、システムディスクが以前のだと、そのまま認識してくれるわけですね。ダイナミックでのフォーマットはお勧めできません。年末にはCDRやDVDにデータのバックアップを書き出していたつもりだったのですが、2年分どこにいったのかわからず往生しました。資料と道具の山(人はゴミの山と言いますが)を探しまくりましたが、どうしてもその2年分が出てきませんでしたが、HDDが読み出せて全て解決です。さて、昨日は神戸で兵庫県難病ネットワークでの講演をしてきました。神戸でも多くの看護師、Drが集まられていました。約1時間半の講演時間でしたが、呼吸管理から自動吸引まで余すところなくしゃべれたと思います。参加していた方の何人かからこのページを見てますよ、と言われ嬉しかったです。まめに更新するようにします。兵庫県ネットワークの高橋会長より、今日の講演に来られた方は幸せですよ、とまとめていただき大感謝です。この1月の厚生省研究班会議で高橋会長からお声をかけていただいたことがきっかけでした。講演に来てくださった皆さん、ご満足いただけましたでしょうか。よかったら感想などメールでいただけると幸いです。高橋先生からは、バック先生(神経難病への鼻マスク呼吸補助の提唱者)を日本に呼んだのは自分だが、その先を示してくれた思いがして嬉しいと言っていただきました。私たちがしているNPPVと気切との併用や昼夜交互使用についてのことです。
6/12 当直をしていました。1時半に深夜外来があってからは何もなく、ぐっすり眠っていたのですが、突然ただならぬ気配を感じて目がさめました。少し明るくなっていた当直室が揺さぶられています。いつもより大きい、揺れが鋭角的だと感じながら推移をみていましたが、10数秒後、ぐらっと縦揺れが始まり、これが本震か、ちょっとヤバイなと身構えましたら、それはすぐおさまりました。すぐテレビのスイッチを入れ、電気が落ちていないことを確認したとたん、病棟からすぐ来るよう内線電話が入りました。非常確認ランプが二ヶ所点灯しています。しかし、約15人分のSpO2モニターは正常に作動していて、一安心。非常点灯は、防火扉が閉まったことを示していました。テレビを見ると、マグニチュード6、震源地はほぼ真下です。しかし、震源が140キロと大変深く、おかげで何も壊れず助かりました。これが神戸のように浅かったらと思うとぞっとします。大分はなぜか震度4でしたが、かなり広い範囲が5弱を表示しています。ここ最近伊予灘を震源にする地震がちょこちょこあって、何か来るかなという思いがあったのですが、真下でくるとは予想していませんでした。人工呼吸器が10数台稼動中の病院としては電源が何よりのライフラインです。勿論非常発電装置は持っていますが、そのラインまで破壊されたら大変です。大地震が来て停電が発生したら、家が大事になってない人は全員すぐ病院に駆けつけるようにという指示を朝礼で再確認しておきました。
6/6 この前の日曜は、私が主催のちょっとしたイベント(遊び方面です)があって、夜は疲れて早く寝たもんですから、気がつかなかったのですが、翌朝テレビをつけると、巨人の選手や監督が、ワキヤがやった!と連呼しているじゃありませんか。巨人のワキヤとは誰でしょう。知り合いなんですよ、実は。というかご近所で、うちの子供たちとずっと少年野球やっていた仲なんです。オヤジさんは、野球やってましたが、それは立派な体格で、自宅にバッティングマシンまでとりつけて、野球の英才教育をやったという教育?パパなんですわ。関西出身の私ですが、今から20数年前に大分に来てびっくりしたのが、自分の子供を本気でプロにしよう(もちろん野球選手ですよ)と思っている親が二人も三人も近所にいたことです。普通冗談って思いますよね。しかし、ここは本気だったんです。その結果が、現在の阪神の安藤選手、楽天の鉄平選手、そしてついに巨人の脇谷選手と育ってしまったのです。安藤選手は長男の一つ上、脇谷は長男と次男の間、鉄平は次男の同級です。この狭い団地で、しかも同じ「ふじが丘少年野球団」から現在3人がプロで活躍中なのです。先週は、楽天の鉄平がサヨナラヒット打ってましたし、ふじが丘ウイークといっても過言ではありませんでした。ワールドカップ目前にして、日本はサッカー一辺倒でありますが、わがご近所界隈は今もプロ野球一点張りです。
5/7 6日は、熊本に行ってきました。熊本での吸引問題シンポジウムに呼ばれたためです。熊本でのHMVはまだまだだと感じました。やはり大分はかなり先を行っているようです。シンポジウムの後、知り合いのドクターのクリニックを訪ねて、小講演会をしてきました。最近二名のALS患者の在宅をしたということですが、もっと頑張ろうという考えになってくれたようです。晩は、クリニックのスタッフの皆さんと宴会で、遅くまで飲みました。スタッフのやる気がとても嬉しい宴会でした。お互い頑張りたいものです。
4/18 今日、70代後半のALS患者が在宅に帰っていきました。今年の1月にCO2ナルコーシスになって緊急入院し、しばらく日中は鼻マスク、夜は顔マスクのNPPVで呼吸管理をしましたが、呼吸困難がとれず、いつも肩呼吸で、苦しさを訴えていました。ご夫婦に、気切バイレベルのメリットを説いて、気切を受けてもらいました。約束どうり、気切でも会話が出来るようになり、呼吸困難もとれ、本日満面の笑みをもって退院されました。先日看護師が数えてくれたのですが、今27台の呼吸器を動かしているそうです(在宅、入院あわせて)。今回在宅に入った患者さんの呼吸器が27台目だそうです。28台目を昨日確保し、来週の入院に備えています。最近は、レジェンドエア一本です。アラーム音がやや小さいこと以外はなかなかいいです。回路がディスポしかないのが少し困っていますが。
今年の看護学会の成人看護Uという学術集会で、ワークショップをやるように言われています。講演とか、パネルディスカッションとか、引き受けて喋るのはいいんですが、たいてい引き受けたとたんに、いついつまでにレジュメや抄録を出せと言われ、これに結構苦しみます。安請け合いは怪我(じゃないですが)のもとです。さきほどやっとワークショップの抄録できました。一安心ですが、5月には今年の横浜での国際集会の英文抄録を出さねばなりません。これがなかなか大変です。
4/9 佐伯と大分の合同レクを行いました。佐伯は、長門記念病院の三宮先生をリーダーに患者さん二人、大分も二人参加し、和気藹々で桜満開のビッグアイからパークプレイスの見学、ショッピングモール散策となりました。参加した患者さんから、とてもよかったと言っていただいています。佐伯のKさんは、自家用電動車椅子で参加され、見事な運転操作をご披露されましたが、翌日筋肉痛で泣いたそうです。私も大分組の一方にサポーターとして参加しました。今回のレクの発案者、三宮先生に感謝でした。写真の向かって左端が三宮先生。となりが私。どちらも体重増加に悩んでおります。
3/25 この3月は、3回ほど週末出張が入り、それ以外の休日や祝日は、他の先生に迷惑をかけていることもあって休日勤務を引きうけているため、ほとんど休日がありません。今日の日曜も病院詰めです。そういえば、歳をとったのか、暇がなかったのかここ10数年ではじめてスキーに行けなかった冬にもなりました。先週は大阪に行き、200名の訪問看護師やドクターの前でALSの呼吸管理について講演し、昨日までは東京で、訪問看護振興財団での検討会に出席していました。大阪での講演では、気切バイレベルで会話が出来ることに大きな注目を集めたと思います。さっそく試してみたいというドクターが何人もいらっしゃいました。気切でQOLが下がるのではなく、QOLを上げるための気切があるという考えを理解してもらえたのではないかと思っております。東京では、看護協会のビルの向かいが、先日竣工した表参道ヒルズです。はて、どこが目新しいのかなと私ら田舎者には話題性が理解できませんでした。訪問看護と介護の連載も今月発行の4月号で終了です。また、4月は出張予定もなく、久しぶりにのんびりしたいと思ってみたり。でもそれじゃ退屈してしまうんですよね、私の場合。
3/7 3月4、5の両日、尼崎に行っておりました。私のもう一つの専門である、じん肺関係です。なぜ、尼崎か。それは昨年のクボタショックです。今回は、奈良医大衛生学車谷教授による疫学調査結果を聞かせていただくことができました。クボタ神崎工場のまわり1キロ四方に、本当におびただしい数の中皮腫患者が発生しているのです。疫学の出発点と言われる、150年前のロンドンの井戸のまわりのコレラ患者を示したジョン・スノーの地図のようです。これまで中皮腫は、アスベスト鉱山のまわりに見つかることからアスベストが原因のガンであることが判明していました。また、中皮腫の患者を調査すると、アスベスト工場の近くに住んでいたと判明した症例も報告されてきてはいます。しかし、一つの工場がかくも多くの患者を地域に発生させたというのは、空前絶後のことでしょう。まるで中皮腫のアウトブレイクです。これまでの私たちの感覚では、一つの工場のまわりに数名の中皮腫患者が見つかったというのでも大事件です。それがなんと100名を越える数が出ていたとは。車谷教授は、私の大学時代の先輩で、学生のころは「奈良医大のルノー・ベルレー」と言われたハンサムです。卒業後も親しくしていただき、大分協和病院にも何度か講演などで来ていただきましたし、宮崎県松尾鉱山の砒素肺がんでは一緒に調査などもしました。今回のクボタ事件は、疫学者にとって滅多にない大事件です。大変でしょうが是非調査を完成させていただきたいと思っています。
・・・しかし尼崎というところも昨年は本当に凄い場所となりました。なにせ尼崎駅のすぐ東にはクボタ神崎工場、すぐ北にはJR福知山線脱線事故現場があるのですから。
2/28 ヒトラー最後の12日間という映画をDVDで拝見しました。残念ながら近くのシネコンでは上映されず、街のマニア向け館だけでしたので、行く時間がとれずに見れないでおりました。見たという人の感想は、いまいち、とか退屈という感じでしたが、今回DVDを見て、私は感動しました。というか引き込まれました。最初は、ブルーノ・ガンツ演じるヒトラーが、何かちょっと違う(他人なのだから当たり前ではありますが)なという感じを受けたり、手を振戦させる様子とか、独特の前かがみの歩き方とかは練習したんだろうなという半分さめた目で見ていたのですが、いつのまにか思いっきり引き込まれていました。まるであの時代のあの場所を見通す望遠鏡があるかのようでした。もちろんドイツ語で演じられるドイツ映画でもあり、ローマ人が英語を喋るようなお白けもありません。2時間半というかなり長い映画ですが、社会派映画が好きな方はご覧になるべきでしょう。最後に秘書が砦から解放されて森を自転車で走るところの映像がまた美しいのです。
自動吸引装置の臨床試験が再開されています。当院では長期臨床試験、県内の国立療養所では短期試験が開始されました。昨年の成績の再現がなるでしょうか。それとも。。。先日、訪問看護振興財団からの視察団が来られました。在宅されている昨年の被験者への聞き取り調査など、二日間精力的に調査されていました。
2/13 12日深夜の女子モーグル決勝、3時に起きて見ました。上村愛子さん、残念でしたね。第2エアの大きさと美しさだけなら間違いなくメダルだったと思います。それも金。だけど、モーグルが速さを競うスポーツであることを認識させられた日でもありました。スタートから第1エアまでのスピードが乗っていませんでした。慎重に滑りすぎたのでしょう。体重の軽い日本人の場合、よほど直線的に降りていかなければ加速が遅くなります。しかし直線的に滑ったら、今度はターン技術が下げられますから難しいところなんでしょうね。この第1レグの滑りがメダリストたちとの2秒の差になったのでしょう。でも、上村選手、その後のインタビューを見ると、とてもすっきりした顔でしゃべっていました。あのエアがオリンピックで飛べたんだから、という納得のように感じます。結局メダルには縁がなかったのですが、記憶に残る選手になられたように感じました。
毎年冬になると仕事の日程とカレンダーを見くらべて、どこでスキーに行けるかと頭をひねるのですが、今年はどうひねっても行けそうな日程が組めません。東京の出張やら講演やらが多くなりすぎて、しかも来週から県内の国立療養所で自動吸引装置の臨床試験が始まりますので当分無理みたいです。とても悲しい。。。
2/5 先週から、IMIのご好意で在宅用人工呼吸器のニューカマー、エアロックス社のレジェンドエアのテストをしています。これまでNIPネーザルでNPPVを導入したあと、気切からの換気ではバイパップ・シンクロニーに移行して、自然な呼吸補助を行っていましたが、このシンクロニーがNIPネーザルに比べて定常音が大きく、ほとんどの方からクレームが出てしまいました。今回のレジェンドエアは、NPPV機器のようにブロアがエンジンで、さらに呼気弁で調節をしていますので、さまざまな使い方ができます。とくにTPPV開始時に、バイレベルモードでリークをさせて発声させることも可能です。自発呼吸が落ちれば従圧式換気もスムーズで、従量式もきちんといけるという大変器用な機械です。機械はバイレベル機器程度の軽さで、片手で持てますし、内蔵バッテリーも積んでいます。アラームも細かく設定できますし、なんといっても運転音がとても静かです。呼気弁からのエア抜けの音のみするという感じです。この一週間で、気切バイレベルの方2名にためしてもらって、1名はすぐにこの方がいいといわれ、もう1名は、かなりいろいろ微調整が必要でしたがあうようになりました。通常のNPPV機器と違うのは、フロートリガーで感知して呼気弁を閉じたり開いたりしているという動作になっていますので、EPAPの圧と、トリガー圧が関連して誤動作(オートトリガー)を生じやすいということです。設定にはそのあたりのことを習熟する必要がありますが、かなり有望な機械が出てきたんじゃないでしょうか。NPPVから気切へのスムーズな移行というところがきちんとできそうなので、私としては大歓迎です。
1/24 先週の週末は大忙しでした。まず金曜の27日は、午後佐賀に行き、県主催の難病研修会で講演。ALSの在宅医療、看護、呼吸管理、自動吸引装置、吸引法と思いっきり盛りだくさんで、しかも1時間少々で喋るというものでしたから、聞かれた方よく分からなかったんじゃないかと心配しています。もちろん一定以上の知識のある方には問題ないと思いますが、これからこの分野を勉強しようという方にとって少し不親切だったかなと反省しています。そういう方は、是非現在「訪問看護と介護」誌で連載中の私の論説「ALSの呼吸管理と在宅医療」をご参考になってください。今、2月号まで出ています。2月号はTPPVについての論説で、おそらくALSの気切下長期人工呼吸について、方法、合併症、対策を含めた初めての本格的な論説となっているのではないかと自負しております。さて、講演会が終わって高速を飛ばして大分に戻り、翌土曜の午前中は外来勤務。夕方の飛行機で東京に出て、日曜は朝から訪問看護振興財団での自動吸引実施マニュアル作りの検討会議。目的とするものもかなりはっきり見えてきました。最終便で大分に戻りました。この間ちょっと不安定になったALS患者さんは2名。病棟と訪看がきっちりサポートしてくれました。
1/6-8 6,7,8日と東京の永田町に行っておりました。神経難病に関する厚労省研究班の公開発表会が、糸山班、今井班、中島班と同時並行、連続してあり、私も糸山班で自動吸引装置の発表があったためです。今回はじめてこの会合に出ましたが、大変な熱気でした。発表も興味のあることが集中しており、今後は外せないと感じました。多くのお知りあいにもお会いできましたし。さて、自動吸引装置の発表は、そういえば神経内科関連の会では初めてになります。これまで呼吸器関連の学会や地域の講演会が主体でしたから。したがって、全国の神経内科のドクターははじめて聞く話しだったのでしょう。大きな反響をいただきました。呼吸理学療法と自動吸引装置を組み合わせたら完璧ではないか、との感想もいただきました。これから全国で追試をしていただくことになります。その結果も踏まえて、認可をスムーズにしていく方法を探ることになりそうです。発表会の後は、メーカー関係者や看護研究者などとディスカッションするなどして充実した3日間をすごしましたが、病院の方は結構大変で携帯で何度も連絡取りながらなんとか看護師さんと患者さんに我慢していただきました。
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謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。12月のびっくりするような寒さから大分は解放され、暖かいお正月となりました。まるで春の日をみるような黄砂におおわれた山々の姿を見ることができました。もっとも東北、北海道あたりは記録的な大雪とのことですので、お見舞い申し上げます。
去年から恒例としました年取りを大晦日に行い、正月から勤務です。そのお正月で呼吸不全のご老人に緊急ミニトラック挿入の処置を、深夜行うことになってしまいました。慢性呼吸不全の急性増悪でしたが、経鼻酸素では炭酸ガスがたまり、NPPVでは酸素が下がるというジレンマに陥っていました。そこで、ミニトラックを挿入し、酸素は直接ミニトラック経由で入れ、NPPVを継続するという方法で、酸素を上げ、炭酸ガスを下げることに成功しました。痰を引くルートも兼ねているわけですので、この方法は、急性期NPPVには有効な手段ではないかと思います。
年末に訪問介護と看護の1月号が出ました。この号から4月号まで連載をする予定です。1月号は、「ALS、なぜ在宅か」と題して、在宅論を書きました。4月号まで渾身の連載としたいと思っております。この医療の関係者の皆様には、是非ご覧になっていただきたいと思います。それでは2006年も是非よろしく。