Dr Makotyの近況報告2007年

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12/17 昨日は、大分市難病ネットワーク研修会があり、私も今回は出番はありませんが、運営委員でもあるので参加してきました。今回のテーマは、介護者のバーンアウトの問題です。患者や家族との関係をどのように保つか、あるいは一定の距離をおくか。これまで多くの志ある方が、疲れはてたり、困惑したりで難病介護の仕事から離れている実態も浮き彫りにされ、この問題を個人や一施設の責任に収めてはいけないことが明らかになりました。講師の大分大学医学部社会学の心理専攻の准教授からは、切り替えの重要さを教えていただきました。もちろん正解がその場ででるわけでもないのですが、こういう観点を持って運営するということの必要性は確認されたのではないかと思います。今回も100名を越すヘルパー、訪看の皆さんの参加があり、この人たちが大分の難病を支えてくれているのだという感を強く持ちました。
さて、前々回お話ししたダイエットです。はい、続けていますよ。88.6キロからはじめましたが、本日は82.1キロ。腹囲も10cm程度減り、ズボンがかなり緩くなって臨月からは脱したようです。驚いたのは中性脂肪で720から一気に120まで低下。なんと正常値じゃないですか。昨日の研修会でも出されたサンドをほとんど食べず、皆さんに驚かれてしまいました。
12/9 毎年この時期に開催される、ALS/NMD国際同盟会議と国際シンポジウムに参加してきました。今年はカナダのトロントです。11月28日の行きの飛行機では橋本会長以下JALSAの皆さんと同じでした。彼らは3泊2日(夜着いて、泊まり明け出発)という超強行スケジュールで、橋本会長たちの意志の強さを感じます。
さて、国際同盟会議(アライアンス)の方は事前登録してなかったのですが、金沢事務局長の日本におけるALS患者の権利と課題」と題する発表もあるため、橋本会長のサポートスタッフのような顔をしてもぐり込んでみました。日本におけるALS患者の権利の確保は、生きる権利を獲得する闘いであった、その結果として医療費の公的扶助や、介護保険対象疾患となり、在宅数の拡大につながったのだという主張に対し、いくつかの参加者から、この間問題となっていた患者の権利−呼吸器を外す権利−をかくも真剣に考えてくれて感謝するという、実にいやらしい反応が出されていました。しかし結局患者の権利宣言というまとめに、呼吸器を外す権利ということを入れるかどうかについては、多くの国から、社会的、宗教的、文化的に異なる各国共通の認識とするのは無理があるとして、一年間理事会で議論を続けるということにおちつきました。初日のレセプションは遠慮いたしましたが、Ask The Expert やAPFは、時差ボケが出てしまい、聞きながら眠ってしまう状態が続いたので残念ながら報告できません。ただ横隔膜神経刺激による呼吸補助は、なかなかいいデータが出されていました。国際シンポジウムは、初日午前とポスターセッションしか出ていませんが、初日のアメリカ、パメラ女史の口演は、100例以上の気切患者の追跡であり、環境が整っておれば、気切もNIVもQOLでは変わらないという心強い発表でした。
折角初めてのカナダ入りでしたので、あれだけは見ておかねばと思っていたのがナイアガラの滝です。1日の午後、現地のツアーに参加して、マイクロバスで行ってきました。もっと山の中に滝があるのかと勝手に想像していましたが、平地にあるうえ、まわりはホテルやカジノだらけとちょっとがっかりというかびっくりというか。しかし寒さが半端ではなく、滝のミストが即座に凍り、そいつがどさどさと降ってくるというなかでの滝見物でした。おかげで服ごと凍りついてしまいました。やはりカナダは寒いです。トロントでも最高気温0度とかでしたから。夜は普通の服装では歩けません。ちょっとコンビニまで行こうとしても、ズボンを二重にはいて、フードカバーつきジャンパーじゃないと無理。帰る日の朝、ホテルを出ると道路が真っ白。帰りの飛行機も駐機場でお湯をかけられ雪を落としての出発でした。
11/19 先月の書き込みさぼってしまいました。なんか毎日結構忙しく、問題ばかり次々出て、解決はしないばかりですから。でも現役の仕事というのはそういうもんなんでしょう。とりあえず健康だからいいじゃないか、とか、とりあえず仕事もストップしてないからいいじゃないかというような、逆説的心療内科的なぐさめを自らにしながら毎日を暮らしています。皆様もだいたい同じような感じでしょうか。これまでずーと暖かく、先週までTシャツ一枚で出勤していたのですが、昨日から突然の気温低下です。お、今年も冬が来るんだと思いました。そういえば3年前のフィラデルフィアの国際ALS会議のときも、前日から突然しぐれ模様になり、2年前のアイルランドのときも、前泊した福岡で雪に見舞われました。昨年は横浜で開催されたものだから海外には足を伸ばせませんでした。今年は来週からカナダのトロントに行きます。今日チケットも届いて、少し実感。でも行くまでに校正しないといけない原稿やら、依頼された文章やら、来週の看護大での講演の準備とかあってなかなかその気になりません。先週は徳永装器の社長と一緒に宮崎に行き、自動喀痰吸引装置の臨床試験の立ち上げに参加してきました。ピストン型吸引器での低量持続吸引による長期試験です。患者さんに笑顔で受け入れていただけました。うれしいのはこちらです。ありがとうございます。
私事ですが、ちょっと真剣にダイエット始めました。スーツが入らないとか、患者さんかかえて体重計に乗ったら針振り切った、とか理由はいくつかありますが、最大の原因は自らの横姿の写真をヨット仲間に撮られ、こりゃいかんと思ったこと。今回はアルコールをやめました。ビールなんてただの水のくせにカロリー高いなんて許せん、なんて思う今日この頃。70キロ台到達までは厳しくやる予定。
9/23 「Life 天国で君に逢えたら」を見てまいりました。伝説のプロウインドサーファー飯島夏樹氏の自伝映画だそうです。もちろん映画としてのウリはトッププレーヤーを襲った病魔との闘いの方で、トッププレーヤーになるまでの過程ではありません。だけど、私は異議を唱えたい。病魔との闘いをより立体化させるためには、もう少し下積み時代から成功にかけての話をしっかり見せてほしかった。ウインドのプロの話なのに、レースシーンが出たのはわずか一回だけ。しかもはじめての優勝のレースのみという超ダイジェスト版です。出ても出ても負け続けというのをいやというほど見せて、ウインドというスポーツの奥行きを認識させ、その上で世界のトップをとるということの大きさを示すべきだったんじゃないかと思います。それが後半の落差を印象づけるのではないでしょうか。いやというほど草レースで負け続けているワタクシもいつか勝つ日がくるのだと信じて(そうとう疑問ありですが)つらくも楽しくヨットに乗っているわけですよ。後半の闘病の部分も、肝心なところが伏せられ、どうでもいいエピソードをつないだという印象があり、いまいち感心できませんでした。製作者やキャストの皆さん、本当にあれでよかったのですか?
さて、9月下旬になってもなお炎天下の九州道を、とある理由で交換した息子のポンコツ(15年モノのサーフ)で福岡の九大に向かいました。ところがなんと水温計がレッドゾーン。なんとかだましだまし流しながら最寄のSAに入り、ボンネットを開けたらリザーバータンクから緑の湯が沸騰して吹き上がっております。オーバーヒートなんて初めて体験させていただきました。親切に対応していただいたガソリンスタンドの店長さんお世話になりました。とくに漏れている様子もないのにいつのまに冷却水無くなってしまったんでしょう?ポンコツは日常点検大事ですね。九大での会議は、自動喀痰吸引装置についての班会議。いい議論になりました。電動式吸引器からローラーポンプへ、それをさらにシリンダーポンプに発展させて今度こそ実用化に近づいたというステップにたどり着いた感じです。でもここからそれを実証するのが大変でもあるのですが精一杯頑張りたいと思います。
8/30 おととい大分市はこの夏最高気温を記録してしまいました。残暑なんてレベルではないです。今がピークなのではと思わせる状態です。この分ではまた10月までずっと暑いのかと思うと、実は白熊である私は大変つらい。北極にいる仲間も氷がとけて大変だそうですが。ところで本日の話題は桃のむき方。
キリッと冷えた桃は夏の名物ではありますが、夏の代名詞というまでには昇格していません。それはなぜか。私の考えではあの剥きにくさが原因ではないかと思うのです。少々料理上手な男性でも、桃はちょっと苦手という方が多いのではないでしょうか。なにせ皮がうすくてやわらかくて剥きにくいうえに、切るはなから果汁がほとばしり手がベトベトになる、触っていた部分が崩れる、変色するなど、一般的な果物のなかでも扱いにくさでは超一級品です。あまたある果物のなかでも扱いやすさの王道では、なんといってもバナナでしょう。なんの器具も用いずともあっという間に剥けて食せるという簡便さ。かつての貴重な果物から、今や芋なみに扱われる大衆性もここから来ているのではないでしょうか。みかんもコタツで手軽に剥けるというのが冬の王者の資格要件であるように思います。包丁を使わねばならないりんごや梨も、多少手間はかかるとはいえ、桃のような気難しさはありません。
そこで、昨日はっとひらめき、ピーラーを使って剥いてみました。あっという間に桃まる裸。上端と下端を指で押さえ、あとは上から下へとピーラーを進めるだけです。下端を支える指が多少濡れる程度ですみますし、身の崩れや変色もなく、みごとなプリリンとした裸にできました。おかげでこれまで苦手であった桃が得意になりましたよ。同じ思いで苦しんだことのある方、是非チャレンジされてください。あまりのあっけなさに気が抜けますよ。
8/15 お盆の期間に、年一回は泳ぎたいという波当津に出かけてきました。残暑見舞いに、山の緑、きめ細かい砂、透明な水の三点セットをご覧ください。大分県最南端の海辺です。県内で最も美しい浜とも言われています。3時間ほどシュノーケリングで漂いました。対岸の高知県のようなカラフルなコーラルフィッシュがいるわけではありませんが、小さなサンゴやくすんだ黄色のチョウチョウウオなどは見れます。しかし、気がついたら、背中がひどい日焼けに。
8/11
平川プレート頒布開始
お待たせいたしました。ついに平川プレート頒布開始です。こちらにご案内のページがあります。
商売ではないので、消費税など考えておりませんでしたが、委託生産ではそれを請求されたり(当然でした)、振り込み手数料やらなんやらの事務費がかさみ、結局プレート2枚1セット換えゴムセットつきで6700円に設定させていただきました(送料別)。多少お高いようですが、アルミ製ですから、一度ご購入いただけたらプレートはずっとお使いいただけます(ゴムは交換が必要です。別売あり)。長期人工呼吸管理の患者の皆様、病院や在宅での安全のために是非お使いください。ポーテックスブルーライン、アーガイルアスパエース、ファイコンGBUは装着確認できています。気管カニューレとマウントの外れ事故を防止して、安心、安全な療養を願って今回の頒布となりました。頒布は現在のところ国内のみ。
7/27 大分県南の佐伯市には現在2名のALS患者が在宅人工呼吸で療養されています。うち1名は40代女性で、この4月から在宅となりました。彼女が気管切開を受けたのは昨年年末で、病院入院中に何度もカニューレと呼吸管のコネクターが外れる事態が発生しました。これじゃ怖くて少しの間も席を立てない、と感じられた夫君が、なんとかカニューレが外れなくなるように出来ないかと考え、作成されたのが平川プレートです。当初は得意の手作業で、アクリル板を切り出し、孔を開けて作られました。入院されていた病院のドクターからこの平川プレートを見せていただき、これぞ長年の懸案を解決する器具だと考えた私は、すぐに大分協和病院での入院患者の標準器具にすることにしました。そこで平川さんに無理を言って、一部改良などしながら30枚作ってもらいました。手作業ですので、作成に一枚あたり40分くらいかかるとのことでした。ただアクリル製ですのでたまに割れてしまいます。そこで県内のNC加工メーカーに相談して、このたびアルミ製の平川プレートを作れる運びとなりました。近日中に私のホームページで公開いたします。少量生産ですので、原価が高いのですが、安全を確保したい方にのみ、原価でお分けしようと考えています。もうしばらくお待ちください。
7/17 また大きな地震が昨日中越地方を襲いました。3年前の最大震度7の大地震があったのは山側、今度は海側が震源地のようです。まあこれで歪は修正されて当分地震が来ないのならまだましなのですけど。地震の映像を一日眺めて思うことは、古い日本家屋が、屋根だけ残して見事に潰れていることです。これはどう見ても屋根が側壁を押し潰したとしか思えません。日本家屋の特徴は瓦屋根ですが、これが木で出来た家の強度に対し、重すぎるのではないでしょうか。中東に大地震が来ると、石積みの家が軒並み壊れて、多くの死者が出ることが報道されます。どうしてそんな危ない家を作るのか、という疑問が出ますが、実はわが国もほぼ同様の危険な状況ではないかと思わされます。なぜあんな重い石みたいなものを家の一番上に並べないといけないのでしょうか。瓦屋根全体の重量は相当なものでしょう。これが家の一番上で揺すぶられて慣性重量を発揮したら、下の側壁や柱もひとたまりもないと思われます。古い日本家屋は即刻瓦を外すというのが、側壁を補強するなどの対策に比べて、有効かつ経済的な地震対策ではないでしょうか。あとはトタンか塩ビのスレートにしておけばずっと重量は軽く出来ると思います。家に、というか屋根に押し潰されないように、古い日本家屋は即刻屋根から瓦を取り除くべきです。
7/11 ベントン、グリーン、ロスとかだけじゃなくて、なんと主役のDrカーターまで降板してしまって、すっかり忘れられた観のあるERですが、現在BSで放送中のER12の第13回、身体と心、という巻では、ALSがテーマになっています。いまや不動の主役にまで上り詰めたDrアビーの学生時代の生化学の教授、ネイト・レノックスが呼吸不全で朦朧となって救急車でカウンティに運び込まれます。意識が混濁する状態で、気切の同意をとれるか、というのが前半のテーマですが、物語は、過去と現在を忙しく行き来して、アビーが学生時代のときの教授とのエピソードや、徐々に進行する筋力低下による転倒事故の話、球麻痺による発声不鮮明などの話が挿入されていきます。そしてついに緊急気管切開となり、無名静脈を傷つけて大出血。ハラハラの展開のあと、呼吸器装着となり意識を回復した教授とアビーの対面とすすみます。結局最後はどのようになるのか結論が出ないままエンドテロップが出てしまいました。教授役はジェームズ・ウッズ。駆け出し医者のころに見たなつかしいOnce upon a time in Americaで、ヌードルス役のデ・ニーロと共演を張ったマキシミリアン役をされたお方。特有のクールなあばた面で、あっ、彼だと分かりました。ウッズ演ずるALSの演技はなかなか迫真の名演で、ERの考証が確かなものだと感心させられます。
6/29 今年は久しぶりに梅雨らしい天気だと感じてきましたが、ここ数日は熱帯の真夏と化して、往診などは汗びっしょりとなってしまいます。昨日も往診途中で大分川を見ましたら、驚くほど水量が減っていました。ここ大分市は、これまでほとんど断水などの事態の発生がありません。これは大分市の人口が比較的少ないのと、大分川、大野川という水量豊かな二本の水系があるからだと思われます。10年前の福岡大渇水のときも、当地は問題なく水の供給ができていました。真夏になれば、背後の九州山地ではほぼ毎日滝のような夕立がきます。今年はそれまで水がもつかどうかですね。
昨日、停電による漏電点検が行われました。では非常電源の発電機を回そうという段になって、異常事態発生。発電機のセルが回らないのです。なんと発電器セルモータ用のバッテリーが干上がっていました。バッテリーを新品に変え、30分後に停電開始。しばらくすると吸引圧が下がってしまっているのに気づきます。まだ終わらんのかぁ、あと少しですぅとの会話を繰り返し、なんとか復旧。非常用吸引装置への切り替えトラブルです。これまで短時間の停電訓練ではわからなかった問題が出てきました。とにかくこれからの台風シーズンを前に問題点が明らかになってよかったです。次回のリスク委員会での議論が楽しみです。
6/8 おとといからの厚労省とコムスンの(というかGWGとの)争いは、これは戦争なんですね。厚労省が明らかにある大手事業者を潰してやるという手を使ってきて、それに対抗して事業者は生き残りを策した、というところでしょうか。私が気になるのは、厚労省が感情的になってないか、という危惧です。そもそもは、コムスンの8事業所が、虚偽申請をして事業所登録をしていた、というものでしょう。そしてその事業所の登録抹消をしようとしたら、先に廃止届けだされて、処分が出来なかった。それで厚労省が頭に血が上って、全事業所の更新申請を通さないって叫んだ。こんな構造にように見えます。で、コムスン側としてはそんな状況に陥ったら座して死を待つのみと、ついでに本体の株価がストップ安で本体も危険だということで、即座に対応策を打った。
どちらが理性的な対応をしているのでしょうか。いなかで重症難病患者の在宅医療をしていると、とくに地方になると、ヘルパーの受け皿がコムスンしかない、ということがあります。人工呼吸器がついている、気切をしていて痰の吸引がある、ということだけで地元の業者が引いてしまい、家族にものすごく大きな負担がかかっているところがあります。幸い大分市は、多くのスタッフの努力で、そういう状態は現在ありません。しかし、一歩市外に出ると、そのために一旦入院したら家に帰れないという事態が起こったりしているのです。そういうところにかなり遠方の事業所でしたがコムスンが来てくれた、ということがあったわけです。
GWGのトップが刺激的なことを言って、厚労省の役人が腹を立てたのもわからないではないですが、田舎で仕事にあたっているのは、まじめに仕事をする方々でもあるのですよ。8事業所の不正があったからといって、それ以外の事業所もみんな同罪だ、というのは江戸時代じゃないですか。まじめに登録し、きちんと仕事しているところまで廃止、というのはあまりに感情的な対応ではないかと危惧します。役所がいろんな間違いをしても、裁判になると負けません。それは、恣意的に、悪意をもって行った行為でないから、「ただちに違法とはいえない」というフレーズで免罪されるのです。でも本件は、恣意的に、悪意をもって処分しているというように見えてしまいます。役所はきちんと事実の積み重ねで行政を動かしていただきたい。こういう感情的といえるような行政の動きに付和雷同するようなことがないようマスコミや政治家は注意してほしいと願います。厚労省、大丈夫か?
6/2 毎月1日は映画の日で、近くのシネコンで一作1000円。最後に映画を見たのが「蒼き狼」で、こいつにかなり脱力してしまってしばらく遠ざかっていた映画なのですが、久しぶりに夕方仕事が終わったこともあって、パイレーツオブカリビアン、その三作目、ワールドエンドを見に行ってまいりました。なんと3時間、時間も金のかけ方も超大作の部類に入るのでしょうが、なんという違和感でしょうか。フランシス・コッポラの地獄の黙示録を見たときのような違和感です。地獄の黙示録は悪夢のなかを漂うような映画でしたが、今度はもっと突き抜けて、妄想の真っ只中にいるようです。カリビアン前2作は、それなりに明るく楽しく作られていて、健康的な想像の産物という映画でしたが、今回は、明らかに病的、妄想的です。地獄の黙示録は、その後かなりたって監督が重症の薬物依存に苦しんでいたことが明らかになりましたが、カリビアンの方はどうなんでしょうか。常識的に言えば支離滅裂な映画なのですが、どのように評価されていくのでしょう。私にとっては椅子に座った3時間、かなり苦痛でした。身も心もディップが好き!とか、このシリーズが飯より好きという向きになら飽きるまですごせますからよいのでしょうが。
5/8 世間は連休でした。もちろん連休といっても仕事をしなければならない人、連休だからこそ忙しい人などたくさんおられます。だから愚痴などこぼしてはいけないのですが、私はこの連休がうらめしい。常勤医3,4人程度で運営している小病院としては、ほぼ交代で日直や宿直をこなさなければならないからです。もちろん代休なんてことはありえません。時給千円以下でひたすら病院で暮らさねばなりません。だいたい病院となると連休でどーんと休みがとれる部署というのは、外来看護部門くらいでしょうか。病棟は入院患者がいるからいつもの祝日体勢は最低維持しなければなりません。給食部門も同様。患者さんの外泊が増えるとその分楽にはなりますが。訪問介護はいつもどおり、訪問看護もながい休みとなると要所要所を押さえるために患者宅を回らねばなりません。事務も月はじめは請求のための業務が入ります。というわけで私もここ20数年、連休で世間のような連続休暇をとったという年はゼロということになります。で、この病院詰めの時間のなかでものにしてきたのは論文を書くことです。ここ数年、これも恒例になりました。病院に詰めているからといって、世間も休みとわかっていますし、インフルエンザの季節も過ぎていますからそんなに忙しいということはまずありませんので、じっくり時間をとって、アルコールも入ることなくPCに向き合うのには絶好の機会でもあったわけです。ところが、今年は駄目でした。在宅のALS患者3名が、肺炎、無気肺、インフルエンザ後遺症であいついで緊急入院となってしまいました。在宅訓練入院中の患者も全身の疼痛などで極めて不安定になられた方がいました。おかげでただでさえ多かった連休中の当直6単位のうえ、しょっちゅう病院に来ざるを得ず、丸一日空けれたのは一日だけとなりました。ただその日は県南佐伯でのヨットレースでしたが、雨と無風で仕事よりつらい?遊びとなってしまいました。レース中も何度も病院から確認や指示受けの携帯がかかってきましたが。だけど連休が終わるとともに、皆さん霧が晴れたように安定されて、今日、明日と退院していかれます。嬉しい反面、ちょっと複雑な気持ちです。なにも連休に悪くならなくても・・・。いや、それは私のケアの不足が招いたことですが。
4/2 もう新年度です。厚労省科学研究補助をいただいたときの忙しさがうそのようです。あれは2月から3月が無茶苦茶忙しいのです。それこそ何種類もの報告書を書き上げねばなりません。とくに私たちの場合、1月に最終モデルが出来て、2月はまだ臨床試験の真っ最中でしたから、試験をやりながら報告書を書くという、もう一回やれと言われても無理という仕事をこなしていました。それに比べれば、今年は呑気なものです。なにせ西日本はすごい暖冬で2月に中国山地に雪はなく、スキーに行く日程を捻出する必要もありませんでしたし。3月になってちょこっと寒さが来て、近くの高速道路が雪のための通行止めが出ましたが。おかげで木の花がこれまでにないような状態になっています。先週佐伯から大分に戻るとき、普段通らない峠越えをしたのですが、白木蓮、山桜、そめいよしの、牡丹桜が全部一度に見れるという贅沢な景色でした。普通順番に見れるのですけどね。
県南の佐伯市で先週から二人目の在宅人工呼吸管理に入られた方がいます。まだ若い方ですが、先日初訪問してきました。これまでずっと佐伯市は一人だけで、介護の方も心細い思いをされてきたので、そういう意味では仲間ができてよかったと思います。私や佐伯診療所の職員も出来るかぎりのサポートをさせていただきます。私も呼吸管理の面でサポートするつもりです。主治医は地元病院の神経内科Drですので、体勢的には万全です。
2/2 あっという間にもう2月。気がつくと1月分全く書き込まないまま2月になってしまいました。なんかとても忙しくすごしてしまって、振り返る余裕がなかったという感じです。正月の当直はなかなか外部の先生にお願いできず、私は元旦と3日を病院ですごしました。元旦は結構シビアなことが起こりがちなのですが、今年はインフルエンザの流行もなく、ついでに温度も高く、おだやかなお正月でした。去年年末に在宅移行した3人も、患者さん、ご家族ともにそれなりに安定してHMV初めてのお正月を迎えられました。元旦に配られる年賀状が少ないなあと思ったくらい。昔はなんとか元旦配達に間に合うように皆さん出していたのでしょうが、年末の忙しさが以前とかけはなれ、やっと年末の休みになってはじめてゆっくり年賀状が書けるという感じになったんじゃないですかね。こちらはなんとか間に合わせて出していたもんだから、来るのがこんなに少ないと、俺、友達無くしたのかなあとちょっとグレイになりました。正月明け早々は、厚生労働省研究班会議です。8日は今井班、9,10日は糸山班です。あいかわらず熱心な討議が行われました。この研究班会議というのは、誰でも参加できます。この分野で頑張っている方で、ご存知ない方は、是非参加されてはいかがでしょうか。私も去年の発表までまったく知らず、これからは絶対出るぞと決意したもんです。1月には、私たちの在宅ケアを見学に他の病院から2名のドクターがこられました。いずれもHMVに対するイメージが変わったと言ってくれました。そう言っていただけると私たちもとても嬉しいです。そして今年新たに課題として立ち上げようとしているのが、TLS研究会。県立看護大の有志とともに、ALSにおける認知症の合併の問題とTLSとの関連について認識を深めていきたいと考えています。2月1日は第一回目の検討会。私からこれまでそういう状態となったALS患者の頭部CTを検討に上げ、看護大からは24時間脳波であるBISの値が示され、興味ある関連が見てとれました。さらに十分に検討を加えて、きちんと公表していきたいと考えています。オープンな勉強会として案内したのですが、院内の有意な諸姉、諸君が10名近く参加してくれたのも嬉しかったです。確実に院内の意識も上がっているんだと実感します。